ひとり法人の年間手続きカレンダー完全版|月別の期限・提出先一覧

#年間手続き#マイクロ法人#実務カレンダー

本記事は公的機関の公表情報(執筆時点・2026年7月)に基づいています。期限は決算月・自治体により異なるため、必ず所轄官庁の情報で確認してください。

ひとり法人(マイクロ法人)を運営していると、「次は何をいつまでに出すのか」が常について回ります。従業員がいない役員1名の法人でも、税務署・都道府県・市区町村・年金事務所という4つの提出先に対して、年間で10種類以上の手続きが発生します。

本記事では、ひとり法人が1年間に行う手続きを月別カレンダー形式で整理しました。それぞれ「何を・どこへ・どの方法で・いつまでに」を表にまとめています。

この記事の前提

期限が決算月によって変わる手続きがあるため、次の前提を置いて具体的な月を示します。ご自身の法人に当てはめる際は「決算日から◯ヶ月以内」の欄で読み替えてください。

なお、期限が土日祝日に当たる場合は、原則として翌開庁日(翌営業日)が期限になります。たとえば法定調書の提出期限は原則「翌年1月31日」ですが、令和8年分は1月31日が土曜日のため2月2日(月)が期限とされています(国税庁: 法定調書の種類及び提出期限)。

年間カレンダー早見表(12月決算の例)

手続き提出先期限
1月源泉所得税の納付(納期の特例・下期分)税務署1月20日
1月給与支払報告書の提出市区町村1月31日
1月法定調書合計表の提出税務署1月31日
1月償却資産申告書の提出市区町村(東京23区は都税事務所)1月31日
2月法人税・地方法人税の確定申告・納付税務署2月末日(決算日の翌日から2ヶ月以内)
2月消費税の確定申告・納付(課税事業者のみ)税務署2月末日(同上)
2月法人住民税・法人事業税の申告・納付都道府県・市区町村2月末日(事業年度終了の日から2ヶ月以内)
5月住民税特別徴収税額の決定通知の受領(市区町村から届く)5月中
6月住民税の納入(納期の特例・12〜5月分)市区町村6月10日
6〜7月労働保険の年度更新(役員のみなら不要)労働局等6月1日〜7月10日
7月算定基礎届の提出年金事務所7月1日〜7月10日
7月源泉所得税の納付(納期の特例・上期分)税務署7月10日
8月法人税・消費税の中間申告・納付(該当者のみ)税務署8月末日(事業年度開始から6ヶ月経過後2ヶ月以内)
11月年末調整の準備(各種申告書の記入)(社内作業)12月の給与計算まで
12月年末調整の実施(社内作業)その年最後の給与支払時
12月住民税の納入(納期の特例・6〜11月分)市区町村12月10日
12月決算日(棚卸・帳簿締めの準備)12月31日

これに加えて、毎月の手続きとして社会保険料の納付(翌月末日)があります。詳細は次のとおりです。

毎月発生する手続き

社会保険料の納付(毎月・翌月末日)

健康保険・厚生年金保険の保険料は、納付対象月の翌月末日が納付期限です(例: 4月分は5月末日)。口座振替を申し込めば毎月の納付作業は自動化できます。口座振替の申出書は事業所所在地を管轄する年金事務所または事務センターに提出します。

源泉所得税・住民税(納期の特例を受けていない場合)

納期の特例の承認を受けていない場合、役員報酬から源泉徴収した所得税は翌月10日までに納付が必要です。住民税の特別徴収分も原則は毎月10日までの納入です。給与の支給人員が常時10人未満であれば、申請により源泉所得税は年2回(7月10日・1月20日)、住民税も自治体への申請により年2回(6月10日・12月10日)にまとめられます。ひとり法人はどちらも対象になり得ます。

1月: 提出物が最も多い月

1月はひとり法人の事務のヤマ場です。前年分の給与に関する報告が集中します。

手続き提出先方法期限
源泉所得税の納付(前年7〜12月分)税務署e-Tax(ダイレクト納付等)/金融機関窓口1月20日
給与支払報告書役員の住所地の市区町村eLTAX/郵送/窓口1月31日
法定調書合計表(+源泉徴収票・支払調書)所轄税務署e-Tax/郵送/窓口1月31日
償却資産申告書資産所在の市区町村(東京23区は都税事務所)eLTAX/郵送/窓口1月31日

給与支払報告書は、前年に支払った役員報酬の内容を役員(自分)の住所地の市区町村へ報告するものです。これをもとに住民税の特別徴収税額が計算されます。提出期限は翌年1月31日で、eLTAXでの電子提出が可能です。1月下旬はeLTAXが混雑するため、早めの提出が案内されています。

法定調書合計表は、給与・税理士報酬・地代家賃などの支払状況を税務署へ報告するものです。原則として支払の確定した年の翌年1月31日までに提出します。

償却資産申告書は、1月1日時点で所有するパソコン・備品などの事業用資産を申告するものです。東京23区の場合は資産所在の区にある都税事務所へ、それ以外は市区町村へ、1月31日までに提出します。資産がない場合でも申告書の提出を求める自治体が多いため、届いた申告書は放置しないようにしてください。

2月: 決算・申告の月(12月決算の場合)

手続き提出先方法期限
法人税・地方法人税の確定申告・納付所轄税務署e-Tax/窓口決算日の翌日から2ヶ月以内(例: 2月末日)
消費税の確定申告・納付(課税事業者)所轄税務署e-Tax/窓口決算日の翌日から2ヶ月以内(例: 2月末日)
法人住民税・法人事業税等の申告・納付都道府県税事務所・市区町村eLTAX/窓口事業年度終了の日から2ヶ月以内(例: 2月末日)

法人税の確定申告書の提出期限は、原則として事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内です。12月決算なら2月末日、3月決算なら5月末日になります。法人住民税・法人事業税も同様に事業年度終了の日から2ヶ月以内で、eLTAXで申告できます。東京23区内のみに事務所がある法人は、法人都民税(区市町村分を含む)を都税事務所にまとめて申告します。

なお、定款の定め等により2ヶ月以内に定時総会が招集されない常況にある場合は、申請により申告期限を延長できる制度がありますが、納付期限は延長されない点に注意が必要です(延長期間の納付には利子税がかかります)。

決算書と申告書を自分で作る手順は決算を自分でやる方法で、日々の記帳を支えるツールは会計ソフト比較で詳しく解説しています。

5〜6月: 住民税の新年度切り替え

5月中に、1月に提出した給与支払報告書をもとに計算された特別徴収税額の決定通知書が市区町村から届きます。6月支給分の給与から新しい税額で天引きを開始します。

納期の特例を受けている場合、前年12月〜当年5月に徴収した住民税を6月10日までに納入します。徴収(天引き)自体は毎月行い、納入だけを年2回にまとめる制度です。

労働保険の年度更新は「役員のみ」なら不要

6月1日〜7月10日は労働保険(労災保険・雇用保険)の年度更新期間ですが、労働保険は労働者を1人でも雇っている事業主が加入するものであり、法人の役員は原則として対象外です。役員1名のみのひとり法人であれば、労働保険の加入義務はなく、年度更新の手続きも発生しません。将来従業員を雇った場合に、保険関係成立の手続きとあわせて必要になります。

7月: 算定基礎届と源泉所得税(上期分)

手続き提出先方法期限
被保険者報酬月額算定基礎届管轄の年金事務所(事務センター)電子申請/郵送/窓口7月1日〜7月10日
源泉所得税の納付(1〜6月分)税務署e-Tax(ダイレクト納付等)/金融機関窓口7月10日

算定基礎届は、4〜6月に支払った報酬の平均から社会保険の標準報酬月額を決め直す手続き(定時決定)です。役員1名でも提出が必要で、6月中旬頃に年金機構から届出用紙が届き、7月1日〜7月10日に提出します。ここで決まった標準報酬月額は原則その年の9月から翌年8月まで適用されます。標準報酬月額と保険料の仕組みは社会保険の仕組みで詳しく解説しています。

8月: 中間申告(該当する場合のみ・12月決算の例)

事業年度が6ヶ月を超える法人は、事業年度開始の日以後6ヶ月を経過した日から2ヶ月以内(12月決算なら8月末日)に法人税の中間申告が必要になる場合があります。ただし、前事業年度の確定法人税額が20万円以下の場合(前期実績による中間税額が10万円以下の場合)は不要です。設立初年度のひとり法人や利益が小さい法人では発生しないことが多い手続きです。

消費税にも中間申告制度があり、直前の課税期間の確定消費税額(国税分)が48万円を超えると回数に応じた中間申告・納付が必要になります。免税事業者には関係ありません。

11〜12月: 年末調整と決算準備

年末調整は、その年最後に給与を支払う時(通常は12月)に、1年間の給与に対する所得税の過不足を精算する手続きです。役員1名でも、自分に役員報酬を支払っている以上は自分の分の年末調整を行います。11月中に扶養控除等申告書・基礎控除申告書・保険料控除申告書などを準備し、12月の給与計算で精算します。ここで作成した源泉徴収票・給与支払報告書が、翌1月の提出物につながります。

12月10日は、住民税(納期の特例)の6〜11月分の納入期限です。

12月31日は決算日です。売掛金・買掛金の整理、棚卸(在庫がある場合)、帳簿の締めに向けた準備を年内に進めておくと、2月の申告が楽になります。

消費税: 免税事業者かどうかの判定

ひとり法人の多くが気にする消費税は、次の基準で納税義務が判定されます。

判定基準内容
基準期間前々事業年度の課税売上高が1,000万円以下なら原則免税
特定期間前事業年度開始の日以後6ヶ月の課税売上高が1,000万円超なら課税事業者(給与等支払額での判定も可)
設立1・2期目基準期間がないため原則免税。ただし資本金1,000万円以上の法人などは初年度から課税
インボイス登録適格請求書発行事業者に登録した場合は、売上規模にかかわらず課税事業者として申告が必要

免税事業者であれば2月の消費税申告は不要です。課税事業者になった年から、法人税と同じ期限(決算日の翌日から2ヶ月以内)で消費税の確定申告・納付が加わります。

決算月が12月でない場合の読み替え

決算月に連動して動くのは次の3つだけです。それ以外(1月の提出物・6月/12月の住民税・7月の算定基礎届と源泉所得税・1月の源泉所得税)は、決算月にかかわらず毎年同じ月に発生します。

手続き期限の原則3月決算の例9月決算の例
法人税・消費税の確定申告・納付決算日の翌日から2ヶ月以内5月末日11月末日
法人住民税・事業税の申告・納付事業年度終了の日から2ヶ月以内5月末日11月末日
法人税の中間申告(該当者のみ)事業年度開始から6ヶ月経過後2ヶ月以内11月末日5月末日

まとめ: 年4回の「締め」を押さえれば回る

ひとり法人の年間手続きは数こそ多いものの、山になるのは実質4回です。

  1. 1月: 給与支払報告書・法定調書合計表・償却資産申告・源泉所得税(下期分)
  2. 決算後2ヶ月以内(12月決算なら2月): 法人税・地方税・消費税の申告納付
  3. 7月: 算定基礎届・源泉所得税(上期分)
  4. 12月: 年末調整・住民税納入(上期分)

納期の特例と口座振替を設定しておけば、毎月の作業は役員報酬の支払いと記帳だけに絞れます。これらの特例申請は設立直後に済ませておくのが定石です。設立時に出す届出の一覧は法人設立の手順にまとめています。

繰り返しになりますが、期限は決算月・自治体・その年の曜日配置によって変わります。実際の手続きの際は、必ず国税庁・eLTAX・日本年金機構・所轄自治体の最新情報を確認してください。